1.重ね煮とは
『重ね煮』って聞いたことありますか?読んで字の如く、食材を重ね煮る調理法です。
重ね煮のことをお伝えする前に、陰陽論のお話をさせてください。
陰陽論とは、東洋哲学の基本となる考え方で、私たちの生きる自然界では“陰”と“陽” のエネルギーが存在します。
陰は、冷たい・軽い・悲しみなどのエネルギー
陽は、温かい・重い・怒りなどのエネルギーです。
生き物や食べ物も全て陰と陽の性質をもっています。
人間の身体と心は、どちらに偏っても健康とは言えず、陰でも陽でもなく、真ん中=中庸(ちゅうよう)のエネルギーバランスに整っていることが大切です。
しかし、私たちの身体は、生活環境や食べるもの、出来事の影響を受けて、陰や陽に傾きがちです。さらには、女性と男性、大人と子供ではエネルギーが異なります。
家族で食事をする際に、それぞれのエネルギー状況や体質を考慮して食事を用意するのは大変!作る人が疲れるような料理方法では続きません。
そこでおすすめしたいが『重ね煮』です。
重ね煮は、野菜や食材が持っている陰と陽のエネルギーを中庸バランスに整える料理法です。また、重ね煮をいろいろな料理に入れることで、普段の食事が中庸バランスに整います。
例えば果菜類は陰、根菜類は陽の性質を多く持っています。重ね煮はこれらの食材を1つのお鍋で調理することで、陰と陽の調和を取っていく調理法です。
神経質にならずとも、この重ね煮を作り、重ね煮を食べることで私たちの身体と心を中庸バランスに整えてくれます。
2.用意するもの
①好きな野菜を3種類以上
基本の重ね煮は、きのこ類、玉ねぎ、にんじんの3種類。ここに、季節の野菜、好きな野菜を足します。重ね煮に使う野菜は、なるべく近くで採れたもの、まるごと使い切れる大きさのもの、皮ごと使いたいので農薬をあまり使っていないものが良いです。
野菜も食材もまるごとで一つの命ですので、重ね煮にはなるべく丸ごと使ってください。

②土、鉄、セラミック、ステンレスの鍋
重ね煮は、無水でじっくり火を通すので、熱伝導率がゆっくりで寸胴な鍋がお勧めです。野菜の水分や旨味を逃がしたくないので、蒸気穴のなく蓋が重い鍋が良いです。
③自然塩
科学的に合成された塩化ナトリウムではなく、海水や岩塩から作られたものです。この塩が野菜の旨味を引き出してくれますので、良質のものを選びましょう。
重ね煮は、野菜の旨味がでるので、調味料が少なくても満足な味になります。ですので、調味料は少量で良質なものを使うようにしましょう。
3.作り方
さっそく重ね煮を作ってみましょう。鍋底に自然塩をひとつまみ敷きます。
次に、用意した野菜の中で、最も陰性のエネルギーを持つ食材から順番に、陰性(下層)→中庸(中層)→陽性(上層)と層になるように重ねていきます。
簡単に順番を説明すると
海藻→きのこ類→果菜類→葉菜類→豆類→イモ類→根菜類の順番です。
土より上にできるものや夏に旬を迎えるものは陰性のものが多く、土の中にできるもの冬に旬を迎えるものは陽性のものが多いです。
悩んだら、畑に成っている様子や旬の時期を思い出して参考にしてください。
切り方は好きな切り方で、あく抜きや下茹ではせずに皮ごと使います。
ひとつひとつの野菜と向き合い、感謝の気持ちを込めて丁寧に切ってください。
重ね煮はひとつひとつの食材と向き合うことも大事なことです。作ることで癒される料理法です。
すべて重ねたら、上にも自然塩をひとつまみ。
蓋をして、ごく弱火で40~70分蒸し煮にします。

だんだんと野菜の香りがしてきます。
1番上に重ねた野菜の香りがしてきたら、そろそろ出来上がりのサインです。
4.使い方
重ね煮は、出来上がったら鍋の中で混ぜます。冷ましてから、保存容器に入れて冷蔵庫や冷凍庫でストックしておきます。野菜から旨味と水分がでるので、煮汁も一緒に保存しておきます。
重ね煮は無水で作っているので、冷蔵庫で5日ほど日持ちします。

使う分だけ取り出して、料理に入れます。
5.重ね煮アレンジレシピその1 ~重ね煮の味噌汁~
《材料》(2人分)・重ね煮…………………………100g
・水(あれば重ね煮の煮汁)…400㏄
・味噌……………………………お好み量(使う野菜によって、旨味が異なるので味見しながら調整してください)
《作り方》
①鍋に水を入れて沸かしたら、火を止めて重ね煮をいれる。
②味噌を溶いて味を調える。
※野菜の旨味がでているので、出汁は不要です。
初めのうち、物足りなさを感じる場合は、鰹節やとろろ昆布を添えてみてください。

味噌汁って、いつも具が同じになりがち。この重ね煮のストックがあれば、その時の旬の野菜を少しずつ摂れ、さらに具だくさんの味噌汁が作れます。
忙しい朝でも、お湯を沸かすだけなので、時短に!
お弁当と一緒に、重ね煮とお味噌を持っていけば、会社でお湯をそそいで簡単に、重ね煮の味噌汁が完成。家でもオフィスでも重ね煮お味噌汁で中庸バランスに整える食習慣へ。
6.重ね煮アレンジレシピその2 ~重ね煮の春巻き~
《材料》(10本分)・重ね煮……………300g
・重ね煮の煮汁(なければ水)…大さじ1
・豚ひき肉…………100g
・春巻きの皮………10枚
・ゴマ油……………適宜
・砂糖………………小さじ1/2
・醤油………………小さじ1
・片栗粉または葛粉…小さじ1
・水(水溶き片栗粉用)…小さじ1
・揚げ油……………適宜
《作り方》
①フライパンにゴマ油を熱し、豚ひき肉を炒める。
②火が通ったら重ね煮と重ね煮の煮汁を加え、砂糖、醤油で味を調える。
③水溶き片栗粉でとろみをつけ、冷めたら春巻きの皮で包んでいく。
④フライパンに多めの油を敷き、③を焼いていく。
※中の具には火が通っているので、皮に焼き目が付く程度です。
油を控えたい人は、ハケで皮に油を塗ってトースターで焼いてもいいです。

重ね煮を使えば、面倒な下準備も楽になります。
焼く前の状態で冷凍保存もできるので、時間のある時に巻いて保存しておけば食べたいときに、さっと1品。ビールのおつまみ、子供のおやつ、お弁当のおかずにも最適!
他にも、スープや焼きそばの具に使います。
いろんな料理にプラスして、知らず知らずに野菜たっぷりで中庸バランスに。